J&H HOME(株)小野弘志です。東日本橋は晴れ。昨日は雪が降りましたが今日は最高気温が昨日より10度程度高くなるそうです。天候の変化での体調管理が難しいですね。
昨日夕方政府は次期日銀総裁へ植田和夫氏を指名することを決めました。先日報道された雨宮副総裁は就任を辞退されたそうです。市場はニュース速報で株安・円安で反応しました。
しかしその後はこのニュースは材料視されず引け値は若干の株安・為替はほぼ横ばいで今週の取引を終えました。市場はゼロ金利政策を推進し日銀の理事当時2000年の会合でのゼロ金利政策解除に反対票を投じ「時間軸」理論で将来の金利を低下させる理論を実践されました。市場は新総裁の判断を模索しているようです。
植田氏は学者出身です。日本では財務省・日銀からのたすき掛け人事が長く続きましたが、
FRBでは学者出身は珍しくありません。先代が大きな仕事をした次のトップは難しい舵取り
になりますが、FRBでは過去にグリーンスパンの後を受けたバーナンキが例に上がります。
マエストロと言われたグリーンスパンは20年弱の長きにわたり異例の5期FRBを仕切ってきました。その間アメリカ景気はITバブル崩壊もありましたが株価が3倍に上がりました。
次を担うバーナンキは2年後のサブプライム問題に頭を悩ますことになりますが、ヘリコプターマネーを研究してきて積極的財政に打って出たことで難局を潜り抜けました。勿論大きくてつぶせない、金融を牛耳って膨大な給与を取っていた者たちとの倫理感を巡る政治的な
混乱でリーマンブラザーズは倒産してしまいましたが、100年に1度と言われて大恐慌の
寸前を回避した手腕は評価されています。さて多くの候補者が黒田総裁が残したレガシーを
如何に評価解消するかという問題に総裁就任辞退という答えを出しましたが、植田氏は就任を受諾しました。バーナンキの時も言われていましたが、学者が自分の学説を実際に実務できるケースはあまりありません。バーナンキも恐慌を学び学説を立てていました。そしてリーマンショック以後その学説を実務として実践して名声を残しました。
植田氏も自分の学説を実戦で証明するチャンスと受け止めたのでしょうか?副総裁に氷見野氏・内田氏という実務のエキスパートを従えてどのように舵取りしていくか、財務省・日銀
との間の政治に屈しない中立な立場での就任となるのでとても期待しています。
まさに日本のマエストロ(名指揮者)になって日本経済をよくして頂きたいと思います。
2023年2月11日