J&H HOME(株)小野弘志です。東日本橋は曇り。今朝も気温が低く東京都心は1℃、日中は11℃の予報です。今日は決済があります。稲城の物件で初めて案件に出会ったのは2022年でした。起業したばかりで但し書き道路の認定が下りていない、つまり公道未接道、再建築不可の状態の物件でした。事態が動いたのは昨年夏。物件の裏手を手掛けていた開発業者が但し書きの認定を取り1区画の販売を始めました。永らく但し書き道路への申請の手続きの住民同意書に同意していなかった住人が動いたのです。背景には時間があったと思います。今回の所有者は20年前、家族が他界して地所にお一人で住むことになって売却を検討しましたが、但し書き道路申請の同意が集まらず棚上げになっていました。時は過ぎ、代替わりが進み相続絡みの土地が出始めます。土地を必要としない相続人が上記開発業者へ売却した事で事態は動きました。建物も老朽化して建て替えもできない状態は住民の但し書き申請への気持ちを前進させました。そもそも但し書き道路とはなんなのでしょうか?建築物43条では
一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
と規定しています。建築審査会へ諮り同意を得なければなりません。そのため申請審査に時間がかかり道路が通り抜けできない場合は案件ごとに審査会への申請が必要になります。期間は半年以上かかり必ず認可されるものでないため、取引が円滑に進まないケースが多くなります。個人間の取引は難しく業者との取引が多いようです。慣れている業者であっても役所の担当者が変われば方針も変わると言われていて取り組む業者も少ないのが現状です。そんな但し書き道路の契約を終え本日決済できることは大変ありがたく思うのです。契約には「万が一建築審査会の同意が得られない場合 契約の白紙撤回」という項目が入ります。つまり建築審査会の同意が得られない場合は売主様は販売を最初から始めなければなりません。期限を設ける場合もありますが役所仕事ですから契約前後から申請して半年程度かかります。売主様にとっては気が気でない状況です。今回は契約書通りの決済となりますが、売主様は賃貸物件に入ります。今回のように2月の決済が遅れると年度末で希望の賃貸物件が借りられるかどうかも分からなくなります。売りて、買い手ともにタイトロープのように審査会の結果を読みつつ動かなくてはいけません。幸いにも賃貸物件に1月入居し今日を迎えられました。今回は当初より難しい案件であることが分かっていましたが、通常の取引であっても簡単な取引はありません。不動産仲介業は緊張の連続です。お客様を不安にさせないようにする事も重要です。今日という日を忘れず今後の業務の糧にしたいと思います。2025年2月10日