2027年度採用状況調査から見る不動産業界の中長期展望について ブログ1995回

J&H HOME(株)の小野弘志です。東日本橋は雨。週末からの雨が今日も続いており、造成工事の遅れがさらに進む見込みです。お天気の事ですから仕方がありませんが、3か月以上も引き渡しが遅れるとなると、お客様の資金計画にも大きな影響が及びます。販売会社の方も「このような事態は経験がない」と話しており、近年の気候変動が現場にダイレクトに影響を及ぼしている現状に、私自身も困惑を隠せません。

さて、本日は中長期的な業界トレンドの指標となる「採用規模」について、日経新聞の調査を基に考察してみたいと思います。
日経新聞が発表した「2027年度採用状況調査(10月1日時点の内定状況)」によると、新卒(大卒・大学院卒)の全体の内定人数は前年実績比0.7%増と、ほぼ横ばいにとどまりました。長らく続いた「売り手市場」による大量採用の波は落ち着きを見せており、全42業種のうち過半数の23業種で内定人数が前年を割り込んでいます。企業は「やみくもに人数を確保する採用」から、生成AIの台頭や中途採用の拡大を背景に、「選考基準を厳格化し、将来の活躍を期待できる人材を厳選する採用」へと軸足を移しています。

この変化の中で、不動産業界への影響は「二極化」の動きを見せています。

非製造業全体(1.7%増)が横ばい傾向にある中、陸運や不動産は手厚い採用を維持しています。ただし、業界内では大きな構造改革も見られます。例えば、大手の大和ハウス工業は「新卒厳選・中途拡大」へと舵を切り、2025年卒の672人から2026年卒は182人(営業職は66人に抑制)へと、新卒採用数を約7割も急減させました。そのぶん、中途採用の強化や前線(現場)への人員配置へとシフトしています。一方で、中長期的なポテンシャル採用や待遇改善(初任給の引き上げなど)によって、優秀な人材を熱心に囲い込む大手不動産会社も多く、業界全体としては依然として高い採用意欲が維持されています。三菱地所や三井不動産といった大手デベロッパーが採用数を増やしている背景には、大規模な再開発がまだまだ続くという予測があります。

また、建設業においても少子高齢化に伴う「現場の担い手不足」が極めて深刻であり、大手建設会社を中心に新卒採用を急増させています。

土木売上高の上位15社における新卒採用数は、この3年で約3割も増加しました。清水建設、鹿島、大成建設などのスーパーゼネコンでは、新卒採用数がそれぞれ450人を超える規模に達しています。若手高卒男性の入職者が減少していることから、採用ターゲットを「大卒女性」や「海外の大学出身者」へと広げており、現場の技能職(クラフター)として女性を積極採用する動き(積水ハウス建設など)も目立っています。さらに、人材の定着(離職防止)を狙い、建設各社は年間給与の引き上げを断行しています(鹿島は平均年間給与1,245万円で首位)。大成建設の最高年収2,300万円を可能にする「スペシャリスト制度」の導入や、現場でのサマータイム導入など、働き方改革とセットで新卒を惹きつける施策を強化しています。 人口減少期を迎える中で、不動産業界や建設業界がどのような視点を持ち、これからの時代を生き抜こうとしているのか。採用市場の動向からも、各社の戦略と本気度が浮き彫りになっており、今後もその動向が注目されます。2026年10月26日

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