「米国債金利5%突破」と家計の変化。不動産を「値上がり資産」ではなく「リスクヘッジ」として持つべき理由。
J&H HOME(株)小野弘志です。
東日本橋は雨。今日は1日雨の予報。明日まで続くようです。今日は事務仕事をして明日からに備えるのがよさそうです。
今朝は数日大きく報じられている、米国債指標10年債金利が5%を超え日本国債指標10年債金利も3%を超えたニュース、そして昨日発表された基準地価が5年連続上昇、台東区の価格が特に上がっている事なども一緒に考えてみたいと思います。
今朝の日本経済新聞を開くと、一見バラバラに見えるニュースが並んでいました。
「高金利の有名企業(GAFAM)の社債増発で、米国債金利が下がらない」
「家計のゲーム・エンタメ支出、10年で2.4倍に急増」
そして不動産業界、とりわけ我が東日本橋の膝元において絶対に見逃せない、最新の「基準地価」の発表。
最近の世相では「不動産ブームはもう終わった」「これからは賃貸でいい」などと囁かれることもあります。弊社は「踊り場」に入ったと考えています。
弊社は不動産の購入は「値上がりで儲けるための投資商品」としてではなく、「長期的なインフレ期から身を守るためのリスクヘッジ(防衛手段)」として捉えて支払いは家計全体を見直すことで見える化し家族を守るものとして考えています。そのように考えると家計を少しずつ圧迫するサブスクやゲーム課金の出費は少しずつ家計を圧迫するため更に見える化が必要だと思います。

🗺️ 【視点1】台東区の「基準地価」が示すもの
今回の基準地価では台東区をはじめとする浅草・上野周辺、そして中央区・千代田区といった都心エリアの地価上昇トレンドが確認されました。インバウンドの爆発的な復活や再開発が背景にあります。
また基準地価は昨年との比較になります。現在月別で発表されている指標と比較すると遅行指標です。短期、日々の論調を受け入れつつ中長期的なトレンドも見ていく必要があると考えています。
中長期的な視点では構造的な人手不足や建築資材の高騰が終わるとは考えにくいです。団塊の世代の大量定年は労働環境を大きく変えています。都内では大規模の再開発が2040年代まで続きます。
人口減少も同時に起こりモザイクのような市況環境ですが、女性の社会進出が進み、定年後の再雇用も増えています。労働人口は増えています。
賃金も上昇し幅広く集計した日本の平均年収は増えていませんが、世帯年収は伸びています。働き方改革は想像以上に進んでいて、子育てなど家族の状況に企業が福利厚生で合わせてきています。この構造の変化は過去の不動産市場と比較する難しさになっています。

📊 通常時(平時)と「1999年」のデータが教える異常事態
今朝の日経新聞にある「有名企業の社債が国債を脅かしている」という報道。これがどれほど異常な事態なのか、債券市場の「平時」と「過去の歴史」の数字を比較すると、その輪郭がはっきりと見えてきます。
本来、債券市場においては「通常(平時)は国債の発行額が、社債の発行額を圧倒的に大きく上回っている」のが常識です。
    • 日本の通常時: 国債(年間約150兆〜170兆円規模)に対し、普通社債は年間約12兆〜15兆円程度と、国債が社債の10倍以上発行されています。
    • 米国の通常時: 直接金融が盛んな米国でも、長期国債(約4.8兆ドル)に対し、社債(約2.2兆ドル)と、国債は社債の2倍以上の発行規模を誇ります。

今年に入りGAFAMの資金調達が活発化しています。AIインフラを整えるためのデータセンターや発電所等1社で100兆円規模の投資を行っています。社債の発行金利が6.75%~7.5%と高金利であっても構わず資金を調達しています。ここで負けるとすべて失う恐れがあるため巨大な投資を止められないと言われています。
最近の米国債金利の上昇にも波及しているためここまでの経緯をまとめてみます。
    • ① 2026年春: AI企業による「異次元の社債増発」の始まり
      5月頃から、生成AI(人工知能)のデータセンター建設やインフラ投資のために、米国の巨大IT企業(ハイパースケーラーと呼ばれるAlphabetやOracle、Metaなど)が市場の予想を遥かに超えるペースで巨額の社債を発行し始めました。この時点で「少し民間企業の資金調達ペースが速すぎるのではないか」と債券ディーラーの間で囁かれ始めました。
    • ② 2026年8月: ウォール街での「逆クラウディング・アウト」の指摘
      8月に入ると、米国の著名エコノミスト(エド・ヤルデニ氏など)や大手金融機関が、明確にこのリスクをレポートで警告し始めました。
      (当時の指摘内容:「本来なら『政府の借金(国債)が増えすぎて民間の資金を圧迫する(クラウディング・アウト)』のが通説だが、今は逆だ。AI革命による民間企業の超巨額な社債発行(8月時点で前年比27%増の約1.7兆ドルに到達)に投資資金が吸い取られ、国債の買い手が不足している。だから米国債の金利(10年物)が下がらないのだ」というロジックがここで確立され、海外メディア(FortuneやCNBCなど)で大きく報じられました。)
    • ③ 2026年9月(現在): 米国債「金利5%」の節目突破と、今朝の報道
      そして今週に入り、市場の指標となる米国10年物国債の利回りが「5%」という極めて重要な節目を突破しました。金利がここまで上昇(債券価格は下落)し、住宅ローンや企業の資金調達コストに実害が出るレベルに達したため、「なぜここまで金利が下がらないのか?」という総括として、今朝の日経新聞などで一般の読者向けに大きく解説記事が組まれた、という流れになります。

しかし、この主従関係が完全にひっくり返った歴史的な大事件がありました。それが1999年の「2000年問題(Y2K)」の局面です。
当時、米国は財政黒字によって国債の新規発行を減らし、逆に買い戻しを進めていたため、市場への国債供給(年間約2.2兆〜2.5兆ドル)が絞られていました。そこへ「コンピューター誤作動によるシステム混乱」を恐れたフォードなどの民間企業が、手元資金を厚くしようと社債を歴史的大増発(年間約3兆ドル規模に到達)したのです。
結果として、社債の発行額が国債の発行額を大幅に凌駕するという需給の歪みが発生。投資家の資金が魅力的な高利回り社債に吸い取られ、国債の買い手が不足したことで、当時の米国債金利は1年間で約5%から6.5%付近へと急上昇しました。
今、米国債金利が「5%」を突破して高止まりしている背景には、まさにこの1999年と全く同じ構造、つまり「GAFAMによる生成AI投資(2年間で約140兆円以上)のための社債大増発」という『逆クラウディング・アウト』の歴史が再現されているのです。

🎮 【視点2】家計のゲーム支出2.4倍と「サブスク化する固定費」
巨大なAI投資は金利を無視して進んでいます。一方、中国(DeepSeekなど)は数分の一の予算で動く「省エネ・低コストAI」というゲリラ戦で対抗していますが、この米中のAI戦争のシワ寄せ(世界的な金利・物価の高止まり)は、回り回って私たちのすぐ身近な生活費を押し進めているともいえます。
今朝報じられた「家計のゲーム・エンタメ支出が10年で2.4倍に急増」というニュースはその一端かもしれません。スマホゲームの課金や、エンタメのサブスクリプションサービスの定着が、家計の支出構造を変えています。
かつて、家計の固定費の王様は「家賃(住宅ローン)」と「通信費」でした。しかし今や、毎月自動で引き落とされる「サブスク代」が、実質的な固定費として家計に深く入り込んでいます。
私たちはかねてより「不動産支出は、住居費単体ではなく『家計の総支出(ライフタイムコスト)』の一部として捉えるべき」という方針を打ち出しています。家計の見える化が必要だと考える証左です。

⚠️ 「値上がり資産」ではなく「将来へのリスクヘッジ」
世界がこれほど劇的なインフレの時代に突入しているからこそ、私たちは「不動産は持ったほうがよい」と思います。ただし、それは「値上がりして儲かるから」ではありません。将来の予測できないリスクを相殺(ヘッジ)するためとしてです。
① 現金価値の目減りと「精神的デフレ」へのヘッジ
世界的なインフレが続く中、現金をただ銀行に貯金しているだけでは、お金の価値下がるため。「通帳の数字は増えても、買えるものが減っていく」という現象がインフレ期には起こります。また高齢化して収入が減ってきた際、毎月貯蓄額が減っていく事はじわじわと人間の心をディプレス(憂鬱に)させていくと言われています。不動産という「実物資産」を持つことは、このインフレによる現金の目減りリスクに対する、ヘッジ手段になります。
② 老齢化したときの「賃貸お断り」リスクへのヘッジ
将来高齢になったときのリスクとして、高齢の方が民間賃貸住宅を借りようとした場合「入居拒否」される事例があります。若い頃は「賃貸の方が気楽でいい」と思っていても、リタイアした後に住む場所を失うかもしれないという恐れは残ります。勿論自治体などが手を差し伸べてくれると思いますが、住環境を担保するものではありません。「自分の家を持っている」という安心感は、シニアライフの精神安定剤であり、長生きリスクへのヘッジかもしれません。
市場が「踊り場」にある今だからこそ、一喜一憂せず、しっかりとご家庭で不動産について考えて頂きたく思います。
雨で外出が躊躇われる今日、思いを馳せるのは如何でしょうか?
2026年9月16日

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