J&H HOME(株)小野弘志です。東日本橋は曇り。石川県・富山県はレベル5の大雨洪水警報が発令されています。同地域にお住まいの方のご無事をお祈りいたします。
パナソニックホームズは施工現場で働く大工の自社育成をする事を発表しました。職人不足が深刻になり外注に依存してきた施工体制を転換します。自社育成に乗り出す背景には、複雑な施工条件に対応する人材の重要性が高まっている事があります。建築を行うパナソニックホームズ建設では2040年に需要に対して自社大工が150人ほど不足するとの試算に基づきを採用を増やします。同様に積水ハウスは「クラフター」と呼ばれる社員職人を2033年までに1000人体制に拡充します。住友林業も自社で専門校を設け技能社員を育成し、若手人勢の確保から教育まで一貫して行っています。人手不足が常態化する中で、施工力の確保は住宅メーカーの競争力そのものとなりつつあります。
人口減で住宅メーカーは将来的な施工数の減少を懸念しています。それでも大工さんを自社育成する目的は現在の人手不足だけでなく、大工さんの高齢化があります。総務省の国勢調査および野村総合研究所(NRI)などの試算に基づく大工人数の推移と予測では1985年に85万人いた大工さんは年々減り続け、2026年は21万人程度、2040年には13万人程度まで減少すると言われています。野村総合研究所では2030年に新設住宅着工を約60万戸と推測しており、大工1人あたり年2.9戸。今後は新設住宅着工戸数の減少幅を、大工の人数の減少幅が上回ることになり、生産性の向上が求められるとしている。と分析しています。現在の大工の4割以上が60歳以上です。一方で、30歳未満の若手大工はわずか7%程度しかいません。今後10年間のうちに、ベテラン大工が次々と70代を迎えて一斉にリ退職(引退)することが確実視されています。人口が減って新築の需要が2〜3割減ったとしても、大工の数はそれ以上のスピード(5割以上)で消えてしまうため、今すぐ若手を育てないと現場が回らないのが現状です。
人口減少で新しく建てる家(新設住宅着工)は減りますが、日本国内にはすでに膨大な数の「既存の家(住宅ストック)」があります。2040年に向けて、これらの中古住宅のメンテナンス、省エネ改修リフォーム、災害時の復旧作業(地震や水害の修繕など)の需要はむしろ高まり続けます。新築が減っても、家を維持・修繕するための大工は絶対に必要となっています。大工不足をフィジカルAI・ロボットで補う事はどの程度現在可能なのでしょうか?「単純な繰り返し作業」や「事前のシミュレーション」の自動化は急進しているといいます。プレハブ工法や大型パネルを製造する工場内(構造フレームの組み立て、CNCルーターによる木材のミリ単位の精密カットなど)では、ロボットアームとAIの組み合わせにより、 carpentry(大工仕事)の約80%近くを工場で完結させる企業もあります。2026年に入り、建設大手や研究機関が「フィジカルAIを搭載した人型ロボット」を建築現場や災害現場に投入する実証実験を本格化させています。現場の3Dデータを自律的に認識し、手作業で行っていた床への図面描き(墨出し自動化ロボット「Mark1」など)や、階段・ハシゴの昇降、危険区域のリスク検知など。また、酷暑環境(55℃など)の過酷な現場で、人間に代わって搬送や単純作業を行う人型ロボットの開発も進んでいます。しかし工場と違い、住宅の建築現場は「地面の微妙な傾き」「当日の気温・湿度による木材の歪み」「強風や雨」など、環境が常に変化します。
特にリフォーム現場などは、壁を剥がしてみるまで中の構造が分からないため、フィジカルAIが最も苦手とする「現場ごとの臨機応変な判断」が求められます。木造住宅が殆どの日本では使用する木材、一本一本「節(ふし)」があり、木目の向き、硬さ、乾燥度合いが異なります。熟練の大工は、ノコギリを入れた時の手応え(感触)や音でそれを判断し、力加減を変えています。ロボットがこの「超繊細な触覚と力加減(指先の職人技)」を完璧に学習するには、まだ時間がかかるようです。その上、大工一人の代わりに数千万円から数億円する人型ロボットを何台も現場に搬入し、メンテナンスするコストを考えると、現時点では「人間を雇って育てる(あるいはプレハブ化を進める)」方がはるかに安上がりとなっています。今後建築現場での光景がどのように変わるのか興味がありますね。それ以上にリフォーム業も手掛ける弊社には工事の担い手が減っている事、人材の確保は大きな問題です。人材が改めて大切だと強く思わされるニュースでした。2026年8月27日